彼女からのメール

焦げ茶色の珈琲の 
中にミルクが 
溶け出す 
…マーブルのそれ 
をストローで 
かき混ぜながら 
彼女が言う。 

何年も生きているのに 
嘘の一つも 
まともにつけない。 私って… 

フィルター間際に 
なった煙草を 
もみ消しながら 
僕はこう言う。 

まともな嘘なんて 
そもそも無いよ。 

昨夜の彼女の 
淫れかたを思い出しながら 
僕たちの間に 
嘘なんていらない。 なんて考えながら

 

グラスの中の氷を 

ストローで 
かき混ぜながら 
私は言う。 

私達に未来は 
あるのかな? 

昨夜の下手くそな 
自分の演技を 
満足げに 
安心しきっている 
こいつを
どうやって捨てて 
やろうか?

 

これからを 
夢見る僕は 
彼女の嘘なんて 
これっぽっちも 
わかってなくて 

今までを 
後悔している私は 
彼の夢なんて 
これっぽっちも 
興味がなくて 

嘘がつけない 

そんな女いるわけ 
ない。

  

フィルター間際に 
なった煙草を 
もみ消しながら 
彼が言う 

そんな君が好きだ 
よ。 

目を見開いて 
彼女は言う。 

私も。