清廉ではないシンデレラ
(前回のあらすじ)
継母と義姉達にいじわるされていたぽっちゃりシンデレラは、痩せるためにエステに通い、その支払いの為にキャバクラでバイトしていました。魔法使いのおかげで舞踏会に参加でき、王子様に気に入られてプロポーズを受けましたが、後日キャババイトがバレて婚約破棄されてしまい・・・
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本当にありがたいことに、「続きが読みたい」という感想をいただいたので、調子に乗って書いてみました。
『清廉ではないシンデレラ』
キャバクラでバイトしていたことを理由に婚約破棄されたシンデレラは、弁護士の薦めで裁判を起こしましたが、お城側は王様以下誰も出廷しませんでした。
損害賠償として、たんまり慰謝料をふんだくれると目論んだ弁護士でしたが、やさしく正直者のシンデレラが望むのはお金ではありません。王子様と結婚する権利があるという地位保全を求めるものでした。実際、民衆の中からも「職業差別ではないか」とお城側を批判する声もありました。
悲しみに暮れていたシンデレラのもとに、なんと王子様が直々に現れました。
「心配かけてごめんねシンデレラ。結婚に反対しているのは王様や側近やすべて上の者たちなんだ。僕がシンデレラと結婚したい気持ちに変わりはないよ」
継母と義姉達は口あんぐり状態です。
「ああ王子様、私なんかにもったいないお言葉です」
シンデレラも信じられない気持ちでした。
「僕が駆け落ちとかして王位を継承しなかったら、困るのは王様の方です。大丈夫、父母は僕が何とか説得しますから、どうか私と結婚してください」
再びプロポーズされたシンデレラは、嬉しくてたまりませんでした。そうまで言ってくれた王子様に、正直者のシンデレラはもう隠しごとはできませんでした。
「実は私、王子様に隠していることがあるんです」
「なんですか?」
シンデレラはひとつ深呼吸をして、王子様を見つめて言いました。
「実は私、腐女子なんです。BLが大好物なんです」
「許します」
嫌われてしまうことを覚悟して告白したシンデレラは、目の前で優しく微笑んでいる王子様の裸を想像してしまって頬を赤らめました。
「それだけじゃないんです・・・」
シンデレラは意を決して続けました。
「百合好きも兼ねているんです」
「許します。美人は変態だっていうのは業界では常識です」
業界って?とシンデレラは思いましたが、王子様の想定外の反応に気を許してしまいました。
「お姉さま方のレディコミを盗み見るのが、至福の時だったりするんですよ」
「私と結婚したら、好きな本を好きなだけ買えばいい」
王子様は余裕の笑顔で答えました。
「アニメイトに行ってBLや百合本漁りさせていただけるんですか?」
「許します」
王子様は、そんなこと大したことではないと笑いました。
「それから私、ジャニオタなんです」
「許します」
「お金が無くてコンサートには行けないけど、新曲が出たらすぐに違法ダウンロードしてるんです!」
「結婚したらコンサートに行くお金くらいいくらでも出してあげますよ。SMAPでも嵐でも、王様のコネを使えば良い席が取れます」
「本当ですか?」
シンデレラは嬉しくて跳び上がりたい気持でした。本当は関ジャニが一番好きなのですが、王子様に村上くんの良さを説明するのに半日位かかりそうなので今はやめておきました。
「それから・・・」
「まだ何かあるのですか?」
「FC●でライブチャットやってます」
「許します」
「分かってるんですか王子様、オナニー動画配信ですよ」
「許します」
「見ず知らずの人に、くぱあって御開帳してるんですよ」
「許します。てか僕もそれ見たいです。後でID教えてください」
シンデレラは感動していました。王子様はなんて心が広いお方なのでしょう。この人とならどんな困難も乗り越えられる。シンデレラはそう思いました。
「ふつつか者ですが、どうぞよろしくお願いいたします」
シンデレラは夢見心地で、改めてプロポーズに応じました。王子様が筋金入りの処女厨&束縛DV男とも知らずに・・・
―了―